日本のことわざ「馬の耳に念仏」(うまのみみにねんぶつ)は、「無関心な相手にいくら説教しても無駄だ」という意味があります。このことわざは、どれだけ価値のあることを伝えようとしても、相手が理解しようとしない、または関心を持たない場合、その努力は無意味になるという現実を表しています。
同じような意味を持つベトナムのことわざには、「Đàn gẩy tai trâu」(豚に真珠を与える)と「Nước đổ đầu vịt」(水をアヒルの頭に注ぐ)があります。
- 「Đàn gẩy tai trâu」:楽器を弾いても牛にはその音楽の美しさが分からないように、何か高尚なことを説明しても理解できない相手には無駄だという意味です。
- 「Nước đổ đầu vịt」:水をアヒルにかけてもすぐに流れ落ちてしまうように、何を言っても、相手が聞き流してしまうという意味です。
このように、ベトナムと日本の文化には、人に物事を伝える際の難しさを理解し、他者の理解や関心がなければ、どんなに価値のある情報でも意味がなくなるという現実的な視点が共通して存在します。このことは、両国が知識やアイデアの重要性を認識している一方で、それを効果的に伝えることの難しさも同時に理解していることを示しています。